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【MME賞】第1位「PLAN 75」記念品授与レポート

◆第1回「観たいのに観れなかった映画賞」第1位作品への記念品のお渡しをいたしました!

今年2月にswfiが開催し、3月に投票結果を公開しました、第1回「観たいのに観れなかった映画賞」にて、数多くの女性が投票した第1位作品である「PLAN 75」。
swfiを以前から知っていてくださっていたという早川千絵監督に、賞状、トロフィー、記念品をお渡しし、SAORIと意見交換をさせていただきました。
そのレポートを公開いたします。

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第1位「PLAN 75」早川千絵監督

「自分が携わっている映画ですら観れていないっていうことが本当に多くて、それじゃいけないよね、と思うので、問題提起をする為にも、この映画賞ってすごく大事と言うかクレバーだなと思いました」

左:早川千絵監督 右:swfi代表SAORI

・swfiについて知ってくださっていたとのことですが、いつswfiをお知りになられたのでしょうか?

「swfiの立ち上げの時にすぐに何かの記事を通じて知りました。その時に、ああ素晴らしいな、と思って会員登録させていただいてから、その活動がどんどん広がっていて、頼もしいな、ありがたいなと言う気持ちと、それと連動して業界も徐々に徐々に変わってきて、ここ数年で声をあげる人が見えてきた、それはSAORIさんや皆さんが継続して行ってくださっているおかげだなと思っています。立ち上げるだけでも大変だと思いますが、それを継続してやっていくって本当に大変だと思います。本当に、尊敬の念と言うか…」

・ありがとうございます!登録してくださっていることを嬉しく思っていたので、このMME賞で第1位が早川監督の作品であることに縁を感じています。この映画賞については、どうお感じになりましたか?

「最初にこの賞をやるとのことで投票を募集されている時に、『観たいのに観れなかった映画賞』って、『観てないのに選ぶのか』と思ってびっくりしたんですけど、ステートメント読ませて頂くと、確かにそうだね、観られないんだよな、と思いました。本当に、現場に入っているスタッフの方達と、最近面白い映画観た?と話しても、観れてない、と…(苦笑)。自分が携わっている映画ですら観れていないっていうことが本当に多くて、それじゃいけないよね、と思うので、問題提起をする為にも、この映画賞ってすごく大事と言うかクレバーだなと思いましたし、この賞がいつか無くなることを目標にしているというふうに書かれてたので、素晴らしいなと思いました。」

・ありがとうございます!監督ご自身も、観たいのに観に行けない、という状況を実感したことはありますか?

「自由記述欄にあった、『映画を観たい気持ちはあるのに、家事育児仕事に追われすぎて物理的に気持ち的にも、実際に映画館へ観にいくアクションを起こしづらい』というコメントを読み、自分も子供が小さかった頃のことを思い出しました。映画業界に入る前で違う仕事をしていたのですが、フルタイムの会社勤めのような事をしていて、子供が小さく手がかかる時期なので自分の余暇の時間が本当に限られている。そんな中、普段家を離れて仕事をしているからこそ、その余暇まで映画を観る時間にあててしまう事にすごい罪悪感を持ってしまって、本当に当時は映画館に映画を観にいけてなかったなと。それがすごいフラストレーションで、観られるとしても朝4時に起きてDVDで見るだとか、それぐらいじゃないと時間が取れない。そういった時期が私にもあったので、『そうだったなぁ』と思い出しました。今ではだいぶ子供も大きくなって、その感情も忘れつつありますが、当時会社勤めではなく既に映画の仕事をしていたとしたら…ありえない(笑)絶対出来ないなぁと思います。」

・その葛藤は、業界人ママたちが常に感じていることですよね。子供がいなくてもそもそも観にいく時間が取れない労働環境ですが、子供がいるとなるとさらにハードルが上がります

・このMME賞と同じ時期に、映キャン!さんが開催した第1回「女性記者&ライター映画賞」において、監督賞を受賞されましたが、これら女性たちが選ぶ2つの賞を受賞した事について、どんな事を感じられましたか?

「実は、以前は【女性監督】と紹介されることにちょっと抵抗があったんですが、あまりにも業界に女性が少なく、マイノリティであるということを実感する中で、【女性監督】であることに逆に誇りを持つようになったと言うか、この状況を変えていく推進力、その一部に自分がなる、という事をきちんと意識していかなくちゃいけないんじゃないか、という風に考え方が変わってきたんですね。なので、今回、MME賞では女性の業界人の方が投票してくださったし、映キャン!の方も女性ライター、女性記者の方が選んでくださった。「女性が選ぶ」という風に高く打ち出している賞に選んで頂いたというのは、もの凄く誇りに思いました。」

関連リンク
映キャン!第1回「女性記者&女性ライター映画賞」
https://www.youtube.com/live/k97K6Ghoaxc?feature=share

・今後、業界が変わっていくことや、女性スタッフ、女性監督が増えていく事について期待はありますか?

「まず、既に変わり始めていることをすごく嬉しく思っています。私が若い頃、10代20代の頃って、女性監督はほとんどいなかったので、業界人や先輩などに、『映画を作りたいんだけど女性でも監督になれますか?』っていう質問をよくしてたんです。今考えるとすごくバカな質問だったと思うんですけど、女性であることを障壁と感じていたんです。社会や育った環境によってそういう刷り込みを受けてしまっていたんですね。でも今の映画監督を目指す若い人には多分そういう感覚は一切無いと思うんですよ。それは本当に素晴らしいことだなと思っています。『女性は出産したら仕事ができないだろうから頼めない』ということがよく言われますが、女性が働きつづけるためには、働く人が業界の条件に合わせようとするのではなく、働く人の条件に合わせて今までの慣習を見直していくことが必要ではないかと思います。」

・私も最初は、ママになっても業界に合わせて働けるようになれば良い、という意識で必死になっていましたが、ある時ふと、働く人の多様性に合わせていける業界になっていくべきだ、と気づき、swfiを立ち上げるに至りました。思い込みや慣習により、やってみればできるかもしれない事なのに誰も挑戦せず、いつまでも変わっていかない部分があるかもしれませんね。

・最後に改めて、MME賞第1位受賞について、コメントをお願いいたします。

「先ほどもお伝えしましたが、観たいのに観れなかった映画の賞と聞いた時には『観ないのに投票する映画賞って変わってるな』と違和感を持ったのですが、何でこの映画賞ができたかというステートメントを読み、今の働く環境が整っていない映画業界に対する問題提起をする、非常に意味のある賞だという事を知り、その第1回目の受賞作品に選んでくださったことを誇りに、そして光栄に思います。ありがとうございました。」

左:早川千絵監督 中央:swfi代表SAORI 右:swfi小林

協力:ハピネットファントム・スタジオ